Published: 2025年11月7日
・知識(情報)集約型
・労働集約型
・資本集約型
と、三つの類型をお知らせした。
確か、労働集約型のところで止まっていたと思うので、そこから再開。
資本主義以前の世界でだと、領主と小作農がそれに近いし、
資本主義後の世界には、蒸気機関で動く綿織物工場とその労働者が、労働集約型ビジネスモデルの元祖だと思う。
だが、産業が工場しか無かった時代を取り上げて、労働集約型のビジネスモデルを説明しても、あまり輪郭がはっきりしない。
知識集約ビジネスや資本集約ビジネスも十分に成熟した現代日本において、ゴリゴリの労働集約型ビジネスを説明するからこそ、他との違いがはっきりするのである。
今の日本で最高に分かり易い労働集約型は、居酒屋と宅配だと思う。他にもいっぱいあるけど、やっぱり王者はこの二つ。
自前で大掛かりな設備を持たず、人間の労働こそがサービスの根幹にある。これぞ労働集約型。自動車産業になると、資本集約の要素がかなり入るし、少し違うと思う。
労働集約型ビジネスは非常に単純。
勤め人を雇う。これは労働力の仕入れだ。
商品サービスを売る。給料払った残りは俺のもの。つまりピンハネ。
労働者への給料の支払いは、労働者が明日も仕事に来られる為の生活費だ。会社にどれだけ利益を出させたか?で、給料を計算したりはしない。
労働者にかかる衣食住と、ちょっとの気晴らしに必要な額を支払う。贅沢させるためとか、独立支援のために余分に給料を渡す事はありえない。あくまで労働力回復のための経費。
勤め人が、居酒屋なり宅配で一生懸命働く。お客からの売上があがる。労働者に給料払って、なお残ったお金が企業の利潤となる。
要するに、労働者の成果から、上前をハネてる。非常にシンプルなビジネスモデルである。
であるからして、労働集約型のビジネスモデルは、労働者の数を増やす事と、ピンハネ率を増やす事が、目的となる。技術革新とか知ったこっちゃ無し。
人数を増やして拡大し、ピンハネ額を増やすことこそが彼らの言う『経営』なのである。(笑)だと思うけど、笑っちゃいけないな、大真面目にピンハネの本を書いて経営の神様とか言って慕われてる人も居るんだし。
最強のピンハネとはご存知、サービス残業だ。あれこそ至高の利益。仕入れ無しで、タダで商品を作れる。泥棒である。万引きである。人から奪い取るのである。
だからワタミもヤマトも儲かるんである。
さて、人の上前をピンハネしたカネによって、企業オーナーと言うのは働かずに遊んで暮らせる事となる訳だ。
命綱は優秀なマネージャーだ。
勤め人と言うのは甘い顔をするとすぐサボる。一生懸命働かないと、売上が落ちて、労働者への給料の支払いの方が多くなり、ピンハネが出来なくなる。これは死活問題だ。
だからこそ、厳しく監視の目を光らせるマネージャーが必要になるのだ。労働者を厳しく追い立てて労働力を吸い取り、成果を上げ、そして彼らの不平不満を逸らすなど、硬軟使い分けを上手とする優秀マネージャーが、オーナーには必要なのだ。
だから、労働集約型ビジネスを手がけるオーナーは、決まって、
「いいマネージャーいない?」
と、スカウトの目を光らせている。
自分に対して忠実で、真面目に部下を管理し、責任感を持って成果をあげてくれる、そう言う管理職が欲しくて欲しくてたまらないのだ。
知識集約型ビジネスの人は、いいネタない?だし、資本集約型ビジネスの人は、いい投資案件ない?だし、手がける業態によって、金の卵は異なるという次第である。
次は、資本集約の話に行きたいんだけど、明日はクラトロさんの対談音声が発売しましたって告知とさせていただきたい。