Published: 2025年11月23日
【前回】 文化物や流行物について、時代の先を読む方法を茶の湯から学ぶ その1
→漫画、へうげものを立ち読みして、小堀遠州が登場しているのをきっかけに、流行や文物の進む先を考える。
堺の商人が力を持った理由は、鉄砲を扱っているからだ。鉄砲本体はあっという間に国産化に成功したが、火薬の原料である硝石は海外輸入に頼るしかない。
よって、火薬を輸入できる商人は莫大な財を蓄えた。
それまでは飯を腹いっぱい食って戦場で勇猛に戦っておれば良かった武士たちが、カネを稼いで鉄砲と硝石(火薬)を買いロジカルに用兵する武士を目指すようになり、勇敢さよりも金儲けが上手な大名が戦争にも強くなる、という時代変化が起こったのである。
おっと、話がズレた。
武野紹鴎という人が再興したお茶は、わび茶ながらも絢爛なもので、どっちかというと商人趣味であった訳だ。
茶器の至高も、宋国輸入の高級茶器であると。
実は、本能寺の変で、日本中にあった超高級茶器はほとんどが織田信長の所有物になっていたのであるが、これが全部燃えてしまっている。
新しい価値観の元に茶の湯を大成させたのが、千利休。
黒、渋さ、静かさ、これを最高の価値とするのである。(※利休の茶の話はまた機を改めよう)
分かるだろうか?
茶の湯は、成金趣味→渋好み→成金趣味→渋好み、と相反する価値観を行き来して発展している事が。
んでまあ、色々あって利休は秀吉に切腹させられて京都の四条河原でさらし首にされる。
後釜が、古田織部。へうげものの主人公だ。
ぐにゃぐにゃと動くように曲がった茶器、あえて茶器を割って金を溶かして接着して使う、完璧に整った物を崩すところに美学を見出している。
利休は静かさとか、止まっているとか、スタティスティックな美学を打ち出していた訳だが、古田織部はその逆を突いていく。千利休を甲とすれば自分を乙とし、少しズラすのである。
でも、成金趣味と言う下品な方向には振れて行かない。
これが洗練という事。
んで、古田織部も徳川家から切腹させられて、次に文化界の天下人となったのが小堀遠州な訳ね。
古田織部のふざけた風を正して、パリッとした感じにしている。時代の反動から逆方向に行く。これもまた洗練。
ただまあ、先代と先々代が凄すぎた。ほとんど未踏の鉱脈は無かったみたい。
「金持ち父さん貧乏父さん」が流行って、
次に「起業ブーム」が来てホリエモンが出て、
次に日本中でやっぱ俺には起業は無理だって事になって「FXブーム」が来て、
次にほとんどの人はFXで大火傷をしてやっぱ勤め人で給料貰うのが確実だって事で「勉強ブーム」が来て、勝間さんとかが出て、
と、大波は次の波を呼んで時代を動かしていく。
(※ちなみに、起業やFXの脇に必ず不動産ブームがあったが、不動産に行った人はだいたい成功してあがってる。結局、不動産が最強なのや)
恋愛術の系譜もまた然り。ミステリーやニール・ストラウスから起こり、日本流のアレンジを加えて藤沢所長が恋愛工学を大成させた。
次に恋愛術の分野で新機軸を打ち出す人間は、時代の反動を上手く利用し、直近の枠組みのアンチテーゼを大成させる人間であろうと思う。
時代に頭角を現す者は、必ず前の時代の物を否定するか、前の物が解決できない矛盾に取り組んで行くだろう。
茶の湯もそうだけど、時代の『行ったり来たり』を上手く捉える人間が大を成すものであると僕は思う。
をはり。