Published: 2025年12月22日
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電化製品とか車とか家などが代表になるが、耐久消費財という商品がある。
パッと使ってすぐ消えて無くなりはせぬが、徐々に消耗や陳腐化をして行き、無価値になって行く性質を持つ。
日本において、ある時期に耐久消費財たちの寿命が一気に伸びた。家電製品などが好例であろうが、かなり壊れなくなった。
ここで一つ考えてみて欲しいが、耐久消費財たちがまったく壊れないしすり減らない物になったら、耐久消費財の商品市場はどうなるだろうか?
もし、
『減らない消しゴム』
が誕生したらどうなるか?
答えは簡単である。消しゴムはもう売れなくなる、だ。
家電製品、車、などの耐久消費財は、多かれ少なかれ『減らない消しゴム』へと近づき、寿命が伸びて売れなくなってしまったのであった。
分かり易い例として、消費者が直接手に取る電化製品や車を例に挙げていたのだが、より大きなボリュームの話として、企業が投資する工場や機械などの生産設備にも、『壊れない』『成熟してしまった』という『減らない消しゴム効果』の波は押し寄せていた訳である。
作っても作っても売れなくなる。
するとどうなる?
家電や車や、それを作るための工作機械や設備など、全ては商品である。商品の価格には労働力が転嫁されている。
商品が売れないという事は、労働力が売れないという事だ。労働力が売れないという事は、失業圧力がかかるという事だ。
逆に、耐久消費財が売れまくるという事は、そこに込もった労働力も売れると言うことになる。
耐久消費財に入っていく労働力は多量であるが、消費者はこれを時間かけてゆっくり食っていく事になるわけで、この高額商品の対価を一時に受け渡しするのは、ある意味、需要の先食いの形勢となる。
「ニンテンドーswitchの生産が足りない!」
となると、とにかく労働力と設備を集めないといけない。今、労働力が必要、なのである。
商品が完成する。顧客は対価を払う。ゲーム機の寿命が何年もつかは微妙だが、3年かけて消費するとして、顧客が払ったカネとは3年分の先払いである。これが需要の先食いの意味。
こうした耐久消費財がある程度行き渡ると、もうswitch要らないって事になる。
事業者はすみやかに生産を調整して、労働者を解雇出来れば良いんだけれど、日本の労働慣行ではそれが許されない。
事業者は、仕事しない労働者を飼い殺しにするために最低限の給料を流出させ続け無いといけないし、労働者は給料減らされてギリギリの生活をしなければならないし、どちらも不幸なことである。
家電、車、設備、あらゆる耐久消費財の生産が過剰になって、商品が余るようになった時、不況となる。
労働力が余り、労働力が売れない。
生産を止めて、待つしかない。
社会全体が、今ある耐久消費財を時間かけて食う。5年、10年。
すると、
「もう冷蔵庫古くなったし新しいの買おうか!」
とか
「車も我慢して8年乗ったし、そろそろ買い替えかな!」
となり、消費が上向く。
耐久消費財が売れ始める。上で述べた通り、耐久消費財には多量の労働力が込もっているため、一発売ればガツンと需要を先食いして大きなカネを受け取れる訳だ。社会のカネ回りは良くなる。
労働力は不足し、賃金は向上する。
以上が、不況と好況の繰り返しに波が存在する事の古典的な説明となる。
先だっての不況と言えば、リーマンショックとそれに続く東日本大震災後の未曾有の恐慌が思い起こされるのであるが、当時、耐久消費財が全く売れなかった時代である。車も家電も売れない。特にひどかったのが家ね。
不動産が凄まじい安値で売れずに放置されていて、夢のようなバーゲンセールであった。またあの時代が来ぬものか、と今の僕は思う。
世の企業が、せっかく大量の労働力を込めて物を作ったが売れず、労働力が循環しないため、お金の流れが止まっていたのであった。
当時は僕などまだ小僧の年頃であるが、小僧なりに世の中を観察すると、キャバクラとかゲームとか韓国映画とかが流行ってたなあ、と。耐久消費財は売れないけれど、耐久消費財とは違うカテゴリに売れ筋の商品がたくさんあった。
不況って言うけど、要らないのに無理して売ろうとするから、カネと労働力の循環が切られてしまうんであって、その時々で人がカネ遣いたい分野があるんだから、製造業以外の領域に労働力がすみやかに移動できるように製造業の事業家たちが鬼のように労働者をクビにしまくって、サービス業の事業家たちがあぶれた労働者を雇いまくっておれば、『不況』の景色も随分変わったのではないかと思う訳です。
また教科書的な話であるが、不況を終わらせる方法は簡単で、余った耐久消費財をぶっ壊して回れば良いという事だ。
すなわち、戦争と災害である。
壊れる。足りないから売れる。必死こいて作る。労働者にお金が回る。
歴史的にも朝鮮半島で戦争が起こると日本で作った物資が売れまくり、好況が出現する事は明らかである。
昨今の好況も、震災によって東日本の耐久消費財が大量に破壊され、新しい耐久消費財が求められた事と無関係では無いのである。
ま、一番の理由は、不景気の時代にみんな我慢して今ある耐久消費財を使い倒して、時間が経って、古くなったから買い換えてるって事なのだけれど。
かつてマルクスというオッサンは、大恐慌によって資本主義は滅び、社会は共産主義に移行する、と言ったけれど、全然そうはならなかった。
皮肉なことに、不況になる事で、物の値段が下がり、貨幣の値段が上がった。すなわち、貨幣への信任が増したのである。みんなカネを遣わず貯め込んだ。
資本主義の根幹は貨幣の信任であるから、恐慌が来るたびに貨幣の信任が増し、資本主義が強化されていくのである。
まあ、またそのうち不景気になるんとちゃうかな。景気良くて、売れまくるからとアパートとかタワマンとかが溢れとるし。
色々と話は飛びまくったが、ゆっくりと価値が減っていく性質を持つ商品、耐久消費財についてのよもやま話。お金に困らない人生を送りたい人は、耐久消費財について色々と考えてないといけませんよ、てのが趣旨だ。
女の価値も、美貌とか若さは急激に減価する資産でありますから、長期で付き合う場合は、減価しにくい性質を豊富に持った女を選ぶのがよろしいでしょう。
をはり。