Published: 2025年12月8日
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観光農園ビジネス視察の第三話である。
ゲストによる代筆でお届けする。
舞台は北関東某地方都市。
現地コテコテの地元人から、近年急上昇株のブルーベリー農園があるとの情報を仕入れ、「これこそチャンス!」とばかり、全ての予定をキャンセルし(※前の夜、ほぼ徹夜で移動しているので、知人宅で昼寝させて頂くつもりだったのだ!)、宇梶ブルーベリー園を訪問。
入園料300円に高をくくっていた僕は、1粒食って、冷水をぶっかけられたかのような衝撃を受ける。
美味い!
ブルーベリーとしてはこのマニアの僕も食った事がないレベルの美味さ!
というのが、前回までのあらすじであります。
(参考)
-----以下ゲスト執筆------
驚くべきことに、ここのブルーベリー農園は地植えなのである。
基本的にブルーベリーという果実は、日本の気候と土壌に合っておらず、地植えで栽培すると美味しく実りにくく、個体ごとの品質がバラける。
(※左右座注:基本的に、ブルーベリーは水耕栽培の手法を応用した栽培法を採用する。便利だし失敗が無いし品質を安定させやすい。だが、いろんな果物がそうなのだけど味の勝負になると、やっぱり地植えが美味い。コクや味の複雑さに圧倒的な差が出る。でも上級者向け。プロでもブルーベリーの地植えは難しい)
地植えでこの美味さは凄まじい。しかも入場料¥300。
サウザーさん曰く、
「品種ごとの特性がはっきりと分かる。木の特性のようなものが」
また、食べ進めていく中で二人同時に足が止まり、
「なんだこれ!!!」
となったブロックがあった。
群を抜いて甘く、鼻に抜けるようなコクがある。
僕はひたすらに
「うっま!」
とどんどん口に運び、
サウザーさんは
「三ツ矢サイダーだッ!!!これはーー!!!」
とはしゃいでおられた。
どうにかこのメカニズムを解明すべく、狩りのあとに出されるブルーベリージャム入りのヨーグルトを食べながら、ご主人に探りを入れた。
事前に設定を合わせたわけではないが、二人はコンビナンパの要領でどちらからともなく設定を合わせる。
ともに観光農園経営志願者ではあるが、志望樹種も違うので、あくまで一顧客としてご主人にコンタクトを取り、純粋な興味としてその秘訣を聞き出しした。
こういう時、僕らのような同種の人間は話が早い。
(※左右座注:ナンパで鍛えてるからね。阿吽の呼吸で設定を合わせる事ができるのである)
素人感の演出も込みで、なかなかのコンビネーションであったと思う。
初めは面倒臭そうにはぐらかしていたご主人も、僕らの『キャバクラ嬢のさしすせそ』ばりの
「そうなんですか!」
「すごいですね!」
「こんなブルーベリーは初めてです!」
といったリアクションにどんどん気持ちよくなってくれて、次第に貴重なノウハウを吐き出していってくださった。
企業のきっかけや、設営、栽培に関するノウハウや、先ほどの「三ツ矢サイダー」の品種の情報も入手した。
ここの農園はご主人の意向で、SNSやメディアなどの広告は一切行っていないが、口コミで東京からも多くの観光客が訪れるという。
また余談であるが、この日はオープン初日ということもあり、客は僕らの他に、ひとりおばちゃんがいたのみだった。
サウザーさんはこのおばちゃんにも果敢に話しかけて情報を探っていた。
話してみてわかったのだが、このおばちゃん、相当なフルーツ狩りフリークである。
この農園にも毎年来ているとのことで、明日もまたやってくるらしい。また、大量に果実をお持ち帰りしていた。
おばちゃんによると、ここの農園は昨年より明らかに味が美味しくなったとのこと(ご主人は「俺にはわからん笑」と言っていた)。
ここからはおばちゃんの推察だが、木も育つごとに、実の味が深みが増すのではないかということである。幼木よりも明らかに年数を重ねた果実の方がコクがあるらしい。
サウザーさんはこのおばちゃんから、ブルーベリーの他にも、イチゴやサンシャインマスカットの美味しい農園の情報を訊き出し、サウザーさんはその場でスピーディーにメモを取っていた。
そして帰りの車中で
「これらの農園にも絶対何かある(ニヤリ)」
と確信めいた顔で話すのであった。
この人は本当に「チャンス」への嗅覚が敏感で、そしてそれをすぐに具体化し、掴み取る。
0から1を、「縁」から「果実」を。
その過程がギュッと濃縮された二日間。
この旅で僕がサウザーさんに一番影響を受けた部分である。
また帰りの車中にて
「小屋やテラスはDIYで自分でやるのに、あの設備にはウン万円も投資するっていうのは、かなりのヒントが詰まった話だと思う!」
と言っておられたのも印象的であった。
この「あそこ」というのは、果実の味・品質に関わるご主人独自のノウハウの部分なのであるが、この旅の中でサウザーさんがよくしてくれた
「リアリズム」(「現実を曲げない」)
という話とリンクした。
つまりは「コアの部分を見極める」ということだ。
ここの農園は全く説明をしくれなくて無愛想だし、広告活動も積極的にしておらず、商売気がない。
頑固オヤジのラーメン屋のような、無骨で職人気質な農園という印象を持った。
しかし、果実の味は抜群。
そこの管理をするご主人の方といえば、栽培方法も全て独学で、ペンキ塗りやテラスの設置も自分でやってしまう。
また自分で絵を描いて飾っていたりと、どこかアーティスト的な雰囲気も纏っていた。
「僕はここのご主人は好きかもしれないなぁ」
と呟くサウザーさんを見て、
60代になったサウザーさんが少し見えたような気がした笑
次回へつづく!