Published: 2025年12月7日
さて、読者の方からのご質問である。
お答えして行こう。
-----以下質問-----
飲料の扱いについて
by yuko
こんにちは。
いつも楽しく拝見させて頂いております。
今回のマクロ栄養素管理のお話について一点お尋ねしたいことがあります。それは飲料の扱いについてです。
というのも、私は牛乳が好きでして、日常的に(多い日には一日一本程)摂取しております。しかし、牛乳の栄養素を確認してみると、脂質が無視出来ないレベルに多いのです。
牛乳で摂取した分、他の食事から更に脂質を抜けばよいのでしょうか。ご回答お待ちしております。
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ふむ。
こう言う質問の趣旨が明確で、文法や語句に間違いの無い文章を見ますと、なんともスカッと爽快な気分になりますなあ。
では、まず、牛乳。
1リットル飲む、とある。
ともかく牛乳1リットルに含まれる栄養を列記する。話はそれからだ。
たんぱく質 34g 脂質 39.15g 炭水化物 49.15g
総カロリーは、684.95kcal!(1L)
超ハイカロリー食材!牛乳!
これだけカロリーが高いからこそ『主食』になりうるんだなあ、と僕は改めて感動。実にハイカロリー。
(歴史ウンチクタイム突入)
古くはスキタイ民族が創始した遊牧と言う文明は、今で言う南ロシアから、またたく間にステップからステップへ伝播、中央アジアからモンゴル高原を通過し、ついには地球を半周して朝鮮半島まで到達したと言いますな。
表土が薄く鍬で耕すことが出来ない不毛の土地を、動物の『乳』によって人類の生活圏へと大変身させた遊牧と言う発明は、実に偉大な技術革新と言えるのであります。
ところで、紀元前400年とかそのぐらいの頃、地球の西側でヘロドトスと言う歴史家が、スキタイ人の遊牧暮らしを取材したのだそうですな。
住居は折りたたみ式のテント、乗馬の習慣、ズボン、筒状の袖のある服、ベルトとバックル、羊、山羊、牛から乳を取る、牛の糞を集めて燃料にする、夏と冬で住む場所を移動、主な武器は馬上弓、などなど、遊牧民の暮らしを克明に記してくれたのです。
ズボンにベルトに袖のある上着は、今や世界標準となりましたが、もともと遊牧民の物。農耕世界では、着物だった。
時を経て、紀元前100年頃の中国に、司馬遷という歴史家が現れたのであります。
司馬遷も、匈奴という遊牧民の生活をつぶさに観察して記録に残しておるのですが、これが、何と、300年余以前に地球の裏側でヘロドトスが記した遊牧民の生活と、ピッタリ完璧に一致するのではありませんか。
スキタイから始まった遊牧と言う生活スタイルが、余りにも合理的で画期的だったために、ユーラシア大陸の草原地帯に点在して住んでいた狩猟人たちは、狂喜して遊牧生活を受け入れ、鞍替えしたのでありましょうな。
遊牧が、数百年後まで何の改良の余地が無いほどに完成された生活様式であったことが、ヘロドトスの『ヒストリアイ』と、司馬遷の『史記』の記述を、鏡合わせにして、うかがい知る事が出来るのであります。
つまりだ、僕が何を言いたいかつーと、人類が飢えていた時代の牛乳(動物の乳)はすげえ!と言う事。
チンギス・ハーンとその部下の精強な狂戦士たちを支えた栄養食品なんだ。
「ちょっと喉乾いたな~」とか言って牛乳をガブガブ飲むと、意図せずしてたんぱく質も大量に摂取できる訳だ。
「腹減ったな~」でチーズをばくばく食ってると、それは脂質とたんぱく質の塊だから、意図せずしてケトジェニックダイエットになって、バキバキの身体に絞れてしまう。
「冬は干し肉だけ食って飢えを凌ぐぜ!」という食生活は、さながらストイックなボディビルダーの減量期の食事そのまんまである。
そらあいつら強えわって話。
そうそう、牛乳ね。超ハイカロリー食材。
有り余る栄養価で、人類の生活に絶大なインパクトを与えた食材である事は間違いない。
でも、今はむしろ過食が問題の現代日本だ。
牛乳は諸刃の剣になる。
ご質問にはこうある。
<牛乳で摂取した分、他の食事から更に脂質を抜けばよいのでしょうか?
僕の回答はこうだ。(※誰が回答しても同じだろうけど)
牛乳1Lから摂取する脂肪は約40gと、膨大と言っても良い量なので、他の食事から脂質を抜くのもけっこう厳しい事になる。
ゆえに、牛乳の無計画な摂取は、減量を目指しているのであれば控えた方が良いのではないでしょうか?
そう言うありきたりな回答が避けられないな。
牛乳はけっこう腹持ちするから、牛乳飲んだぶん、他の食材に対する食欲が抑えられるなら帳尻が合うと思うけど、牛乳を水代わりに飲んで、メシも普通に食う、となるとやっぱりカロリーオーバーになると思う。
あとの解決策は運動しか無かろう。
日常のアクティビティを上げて、活動代謝を「まあまあ」か、「高い」に引き上げる事だ。
この記事中にリンクしたテストステロン先生のツールを参考にすると明らかになりますが、例えば、30歳男性(170cm、65kg)の人は、
活動性が、
低い→1880kcal
まあまあ→2430kcal
高い→2700kcal
が、それぞれの現状維持カロリー量になる。
仕事はデスクワークで、家では本読んでゲームして、みたいな生活だと「低い」になって、たった1880kcal以上食うだけで脂肪に変わると言う悪夢の食生活になる。
牛乳1Lで700kcal摂取など、無謀な話である。
ところが、週5か週6でジムに行ってがっつり筋トレすると、アクティビティは「高い」のカテゴリーになる。僕の場合。
ちなみに、週3のジムで、「まあまあ」になる。週1にまで減ると明確に「低い」になって、ガチにカロリー制限しないといけない。
あるいは、
「今年の夏は捨てて2018年の夏に賭ける!今は筋肉を増やして増量したい!」
と言う要望ならば、目安の一日摂取カロリーは3200kcal。(2700kcal+20%)
牛乳1Lていどのカロリーは簡単に吸収出来てしまう事になりますな。
運動のカロリー消費もまた凄いと言うこと。
をはり。