Published: 2025年11月25日
自分の商品を作るには生産設備、すなわち、資本が必要である。
生産設備を持つには原則として大きな額の金(投資)が必要であるが、僕は金が無かったので極力自分の労働力によって生産設備を作る事にしていた。
驚くべきことに素人の日曜大工でも、ボロ不動産は復活するし、入居者は決まるし、帳簿上の価値はぐーんと増える。
『労働力』という商品の凄まじいパワーを感じざるを得なかった。
そう、資本家になるのに金は要らんのである。根性決めれば自分の労働力一本で小さな生産設備は作れるんである。
時は流れて。
92万円で買ったボロ区分マンション再生をやり抜いて経験を積んだ僕に、とあるチャンスが舞い込んできた。
今は亡くなってしまったおじいさんとおばあさんが隠居用に建てて住んでいた家を好きにしていいと言う話である。
ゴミ屋敷状態で塩漬けになっているが、処分はお前に任せる、と言う訳である。
ゴミを捨てて、リフォームして、賃貸に出す。
再生の全貌は、すぐに思いついた。
いわゆる空き家不動産投資と言うやつである。
空き家のメリットは何と言っても物件取得費がゼロな事だ。自分の貯金を傷めず、借金しなくても良い。
今は亡きじいさんが財を傾けて建てた近代建築であり、しかも老夫婦二人がつつましく住んでいただけだったからという事もあり、築20年でも状態は驚くほど良好だった。
「これは良い家賃が取れる!」
僕は密かに狂喜した。
両親たちにとっては不良債権のゴミ屋敷が、智恵と経験と労働力によってお宝に化けるのである。
以下、自分がやった事。
①お寺さんをお呼びして、3万円ほどお布施して仏壇の魂抜き供養。仏壇と仏様は寺に運ばれ然るべき処置をして貰った。
(※僕自身は神も仏もない無神論者であるが、亡き祖父母や一族の信条を慮るに、仏像をいきなり粗大ゴミに出すのは憚られるのである)
②家の中のゴミの搬出。
ごみ処理業者さんにお願いした。ボロ不動産やるなら良い廃棄物業者をチームに組み込むのは必須。
軽トラや1トン車を使って、自力でごみ処理施設に持ち込みすれば経費節約出来るけど、個人的にごみは自分ではやらない・リフォームはやると線引きしている。
③天井、壁、床、と、リフォームは上から下にやっていくのが定石である。
築20年ながら、天井の状態は良く、特に床が全く傷んでない。
修繕は壁紙の張り替えと、障子紙の交換、電気のスイッチパネル交換だけ。見違えるほど清潔感が出る。
④風呂、洗面台、キッチンと、水回りも全然問題なし。
どれだけ壁が穴ボコ(夫婦喧嘩とかで)になっていても、床がギシギシ鳴っていても、ゴミだらけで散らかっていても、水回りが生きてる物件なら再生は楽。水回りは100万単位でお金が出て行くので。
⑤リフォームが終わればハウスクリーニング業者に掃除を依頼。
⑥その地方の中心街のJR駅前で不動産屋さんを営業回り。客付け専門業者と言われるアパマンさん(通称アンパンマンショップさん)とか、ミニミニさんとか、ざっと駅前で勢いのありそうな不動産屋に飛び込みで営業して行く。
「オーナーです、募集お願いします!」
と、第一声で言わないといけない。小僧が店に入っても「お部屋探し」と思われて、ぜんぜん話が噛み合わない事があるので。そして次の項に関係するが、「管理は自主管理です」だ。
⑦家賃保証会社を付けて、管理会社は不要。
管理会社と言う不可思議なシステムがある。具体的に何かサービスしてくれる訳でも無いのに、家賃の5%を管理料としてさらって行く。
そして『管理』の不思議な点が、管理を任せた会社が実質独占して入居者募集を行うのだ。そんなもん、一社に独占させずに各社ヨーイドンで入居募集の競争させた方が早く決まるでしょ、とか思うけど。
あとは入居の応募があるのを待つ。
ちなみにだが、これらの経費は今は亡きおじいさんの子(つまりは僕の親なのだが)が、全部出した。
本当は自分らで始末をつけないといけない事なのに、息子にやらせてバツが悪かったのかもしれない。
そんな訳で、空き家不動産から月88,000円の家賃を懐に収める事となった。
をはり。